ありがとう
振り返れば、幹事への付き合いで参加した平凡な合コンだった。 右向かいの彼のことは、落ち着いてていいなと思ったけど、ホントにそれ以上の気持ちはなかった。 宴もたけなわ、安っぽいコーヒーゼリーをつつきながら、回ってきた安っぽいアプリの画面。 面倒なことにならなさそうだからと、彼の名前を入れた。 私はいま、彼と結婚して8年になる。 3人のやんちゃな娘を必死に寝かしつけ、冷蔵庫から取り出したコンビニのコーヒーゼリーを静かに掬いながら、この世の縁というものの不思議さについて考え込んでしまう。