南蓮園池

南蓮園池は香港九龍のダイヤモンドヒルに位置して、敷地面積が三万五千平方メートルです。北は志蓮淨苑と繋ぎ、後ろは山で、南は龍翔道まで、東は斧山道と隣接して、全体が東南の九龍に向かっています。香港特別行政区政府（特区政府）は、2003年7月から公式に志蓮淨苑に南蓮園池の設計と建造を委託しました。工事が2006年に竣工して、同年11月、園池が民衆に無料開放されました。
隣の志蓮淨苑とともに、この園池が唐風によって、唐代の木結構建築と園林の風格を現代に再現しています。志蓮淨苑は特区政府に対して、香港の唐風建築園林である志蓮淨苑及び南蓮園池を世界文化遺産として国連に申請を出し、中国の悠々たる歴史を発揚させ、香港市民の伝統文化に対する認識を強めようと呼びかけました。特区政府は支持を表し、且つ2011年の年末に中央政府と連絡し、申請報告を提出して、審査をいただきました。2012年11月17日、国家文物局は北京で全国世界文化遺産工作会議を開き、志蓮淨苑及び南蓮園池が国家文物局の『中国の世界文化遺産申請リスト』に入れられたと公表しました。このリストに入るのは、世界文化遺産になる第一歩です。特区政府は、引き続き国家文物局と緊密な連絡を保ち、志蓮淨苑及び南蓮園池の世界文化遺産としての申請について、次のステップの準備を完成しようとしています。
南蓮園池の設計見本は、中国古代の自然山水園林である唐代山西の「絳守居園池」で、泉水、山石、林木、草花、亭閣、曲道、橋梁などの景観からなる名園として作られました。この園池は、中華伝統的な美しい造園芸術標準を継承し、良い位置を選び、現地の特徴によって設計し、借景、掩景、透景、隔景、拡景及隔音などの手法を通して、平遠、深遠、高遠の重層性にこだわり、「小から大を発見し、にぎやかな町で静かな場所を探し出す」ことを目的として、この小さい空間を古風が溢れる自然山水園林の縮図にしようと求めています。周辺は賑やかな都市環境にもかかわらず、入園者は造園者が設計した観賞路線に沿って、重層的な園池に目の前に絶えず変わっている景観を観賞して、詩や画のような美しさを感じられます。このような精緻、高雅、静寂な園林が作られたのは、自分で体験していないと、本当に信じられません。
園池は蓮園の南にあり、全体が池を中心として、東西が長く、南北が短くて、横方向から見ると半分の月のようです。水が北山の渓流から導入され、水面の面積が小さく、丸い形をしています。池の中に、蓮花が植えられ、「蓮池」と名付けられています。また、池に島もあり、島の中には亭閣があり、南北は子午橋で繋げられます。蓮池の水が松渓を経て東へ流れます。東の水面が広がって、「蒼塘」と称され、様々な色の鯉が水の中を泳いでいます。観光者は同じ方向に向かって遊覧し、岸の園路に即して、ゆっくり歩いて両側の林木と山石を観賞します。歩んでいる間、景色がいつも変換しています。曲道も静寂な所まで延びています。このような調和のとれた雰囲気に、心身ともに淨化でき、悠然たる気持ちで天地万物の生機を感じられます。まるで唐代詩人白居易が言うに、「人间有闲地，何必隐林丘」（人間には静かな所があり、山林に隠居する必要がありません）。また、北宋詩人蘇舜欽は『滄浪亭』に、「一径抱幽山，居然城市间」（静かな山へ延びているこの道が、まさに町の中にあります）と言いました。
南蓮園池が珍しい静的観賞文化園なので、管理者はこの園林のメンテナンスに現代の専門的な管理方法を使用しています。管理者は観光者と一緒に、香港のためにこの独特な気品がある中国現代の唐風山水園林を保護し、長く存続させて、世界文化遺産に入れられるよう努めています。